こんにちは、ヨシマサです。
この記事では、曹洞宗の開祖 道元禅師が著した『正法眼蔵』(しょうぼうげんぞう)とはどんなものなのか?についてわかりやすく解説してみたいと思います!
この記事を特におすすめしたい人:
・『正法眼蔵』について知らない方
・坐禅(座禅)やマインドフルネスに興味がある方
『正法眼蔵』って何?
『正法眼蔵』は、日本における曹洞宗の開祖 道元が、自身が仏道修行によって得た知見や考え方を著した書籍です。
鎌倉時代に生きた道元は若い頃、京都の建仁寺に弟子入りして修行をしていましたが、そこでの修行に満足できなくなり、本物の仏道を求めて中国(南宋)に渡り、如浄という師匠のもとで修行しました。
そして修行の結果 ついに悟りを得て、日本に帰国します。
ようやく悟りを得ることができた道元はホッとして、しばらくはゆっくりしようと思ったそうですが(←少し意訳が入っていますが、これは本当に『正法眼蔵』の『弁道話』巻で道元自身が述べています)、
道元:「いや、やっぱり私のこの経験は人に伝えなければならない!」
と思いなおし、『正法眼蔵』を著すに至りました。
『正法眼蔵』が書かれたきっかけは?
さきほども紹介した『弁道話』巻で、道元はこんなことも書いています。(ここもわかりやすさを優先して意訳が入ってますがご了承ください)
道元:「本物の仏道にたどり着こうと修行している人たちがいるのに、自分はのんびりしてて良いのか?
正しいことを教えられない師匠のもとで学び、本物の仏道に触れることができず、長く路頭に迷ってしまう人がいるのはかわいそうだ。
私が中国で得た仏道はまちがいなく本物なのだから、この考え方を書物に記し、役立ててもらおう。」
このように、道元は自分がたどり着いた本物の仏道を知って役立ててもらうために『正法眼蔵』を著しました。
誰に向けて書かれた?
『正法眼蔵』は、仏道修行者と、一般人の両方に向けて書かれた書物です。
さきほど紹介したとおり、はじめは仏道修行をしている人向けに書き始められましたが、それはあくまで書き始めるきっかけにすぎません。
『正法眼蔵』は道元がおよそ20年の長きにわたり書き続けた大著であり、全87巻もあります。(ここでいう「巻」というのは、本1冊という意味ではなく、1つの話のことです。だいたい1巻あたり文庫本サイズだと3~10ページくらいです。)
この87巻の中には色々な話がありますが、内容としては仏道修行をしている人(いわゆるお坊さん)向けもあれば、一般人向けに仏道の考え方やエッセンスを伝えようとしているような巻も多く存在しています。
どんなことが書かれている?
では『正法眼蔵』にはどんなことが書かれているか、簡単にわかりやすく解説したいと思います。
わかりやすくするために、私の独自の解釈を含めて記載しますがご了承ください。また、私はお坊さんではなく一般人ですので、仏教的な言葉ではなく、日常的な言葉で説明します。
道元が『正法眼蔵』を通して伝えたいことは、大きく分けて5つあると私は考えています。
①「死」は怖いものではない
②「苦」は苦しいものではない
③「固定観念」を取り払うことが大切である
④「執着」から離れることが大切である
⑤「差別」することに意味はない
昔の仏道修行者が書いたものなのに、現代に生きる私たち一般人にも通じそうな内容ですよね。
仏教は、元々はこれらのような考え方が根本にあるのですが、仏教に関する昔の書物の多くは、お経やお作法などを中心に書かれており、「考え方」のような内容が丁寧に書かれているのは『正法眼蔵』が一番ではと思います。
他の多くの書物にも、「考え方」についても書かれてるとは思うのですが、お経(漢文)で書かれていたりして、一般人に理解してもらうことを想定していないといえるものが多いです。
『正法眼蔵』は、たしかに難解な部分もあるにはあるのですが、ほかの書物とは違い、広く一般人にも理解してもらうことを想定した書き方がされている部分もあります。
そういった意味で私は『正法眼蔵』を、仏教に関する本というより思想・哲学のジャンルの読み物のようにとらえています。
「マインドフルネス」との関連
現代には「マインドフルネス」という概念がありますよね。
これは、過去・現在・未来のいろいろなものごと(心配事・問題・ストレス・・・)を手放し、「今」だけに集中することで心身を良い状態に持っていく活動や心構えのことですが、このマインドフルネスは、『正法眼蔵』に書かれていることに近いものがあります。
道元は「今」だけに集中するために「坐禅」することが最も大切であると提唱しました。マインドフルネスでも「瞑想」をします。これらは似たところがあります。
このブログでは、『正法眼蔵』全87巻の中から、現代の私たちにも参考になるものをできるだけわかりやすく紹介していきたいと思っています。
『正法眼蔵』に関する書籍の紹介
『正法眼蔵』は今から800年も昔の鎌倉時代に書かれた書物なので、原文は古文であり、読めないことはないですが少し読みにくいので、学者さんが現代語訳した本が多数出版されています。
多数ある中で私が愛読させていただいているのは、増谷文雄先生の『正法眼蔵(一)~(八)』です。興味を持たれた方は、一度手に取ってみてください。
この記事の要点まとめ
・『正法眼蔵』は、道元が仏道修行者と一般人向けに自身の知見や考え方を広めるために記した書物です。
・『正法眼蔵』には、現代の私たちの生き方・考え方の参考になることがたくさん書かれています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。